お薬手帳のメリット~薬局とお金の話⑥
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お薬手帳のメリット~薬局とお金の話⑥

お薬手帳ってみなさんお持ちでしょうか?調剤薬局へ行くと必ずお薬手帳の提示を求められますが、その理由とお薬手帳を持つ経済的メリット・もう1つのメリット、そしてお薬手帳アプリについて薬剤師でありファイナンシャルプランナーであるgorisanがお話しさせて頂こうと思います。

<お薬手帳を提示する理由>

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お薬手帳を提示する最も大きな理由は、併用薬を確認するためです。今回もらっている薬との飲み合わせや相互作用を薬剤師がチェックすることで、副作用などのリスクを回避することが狙いです。

自分の飲んでいる薬が分かっているのに、口頭で説明すればいいじゃないか?と思う方もいるかもしれませんが、自分が飲んでいる薬について血圧の薬とかコレステロールの薬といった認識の方が多いのが実情です。

併用薬チェックには、それだけでなく正式名称や用量・用法も必要になるので、お薬手帳を持参してもらったほうがよいというのが1つめの理由です。そしてもう1つの理由はコンピュータによるチェックです。

多くの調剤薬局ではレセコン(調剤請求用のパソコン)を導入しており、薬歴(カルテ)もコンピュータで管理しています。会社によって機能は異なりますが、併用薬を登録するとチェックしてくれる機能を持つレセコンは非常に多いです。

お薬手帳を持参することによって、薬剤師の知識とコンピュータのデータベースによる併用薬のダブルチェックが可能となるため、お薬手帳を持参してもらい併用薬を登録してもらうことを勧めます。

またお薬手帳には、アレルギーや副作用などを記載する欄もあるので、ここも活用して頂けると服薬によるリスクを回避することができます。あまり活用されている方を見たことはありませんが…

ここまで述べたお薬手帳を持つ理由は、どちらかといえば薬局側からの意見だったと思います。では、お薬手帳を持つことで自分はどのようなメリットがあるのでしょうか?

<お薬手帳を持つ経済的メリット>

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お薬手帳を持参している場合と、無しの場合ではお会計が変わってくることがあります。これは、薬学管理料と呼ばれる調剤報酬が手帳の有無により変わるからです。

薬学管理料とは、服薬指導を薬の情報提供にかかる料金ですが、併用薬チェックや薬歴(カルテ)の管理もこの中に含まれています。お薬手帳により併用薬チェックが簡易化され、カルテも充実するため値引きされるという認識でいいでしょう。

初めて薬局を訪れたり、お薬手帳がない場合は薬学管理料は57点算定されますが、3ヶ月以内に同じ薬局に処方せんを再度持ち込み、さらにお薬手帳を持参している場合は43点になります。

57-43=12点(=120円)の自己負担分が安くなるので、1割負担の方で10~20円、3割負担の方だと30~40円の差額が毎回発生します。毎月2回、1年間調剤薬局に通った場合、1割負担の方で240~480円、3割負担の方だと690~920円の差額が出ます。

ちなみに値段に幅があるのは、調剤報酬の計算の過程で他の調剤報酬と合算され五捨五超入(切り捨て≦5<切り上げ)されるからです。切り捨てられるか切り上げられるかで差額が発生します。


<お薬手帳を持つもう1つのメリット>

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災害や転居などで今まで通っていた病院に通えなくなり、飲んでいた薬が分からなくなった場合にお薬手帳があれば薬を特定できるというものです。特に災害時にはお薬手帳の有無で大きな差が出ます。

東日本大震災のとき、救援物資として届けられた医薬品を分配する際、お薬手帳がある方は服用していた医薬品の特定と用量の決定が非常にスムーズに行えたというエピソードが有名です。

また一包化(薬をヒートから出して袋詰めしてもらう調剤方法)をしている場合は、病院へ入院したり緊急手術を受けたりするとき、現物があっても医薬品のコード番号から特定するので時間がかかりますが、お薬手帳があればそんな手間はかかりません。

そして近年お薬手帳アプリなどが登場し、スマートフォンがあればお薬の情報を管理できるようになりました。薬情(薬の説明書)にQRコードを記載してもらい、これを読み取ることでお薬手帳を更新できるので、お薬手帳を持ち歩かなくてもOKです。

将来的にはお薬手帳アプリの進化やマイナンバーカードの保険証利用に伴うお薬手帳機能搭載など、IT活用によって薬局で薬をもらうだけで自動的にお薬手帳が更新されるようになるかもしれません。

しかし、現段階ではスマートフォンのお薬手帳アプリは、QRコード決済と似たような印象ですので、現金派の方はお薬手帳を携帯し、QRコード決済派の方はお薬手帳アプリを活用するのが、時代にあっているのではないかと思います。

<この記事を書いた人>
gorisan
地方の小規模チェーン調剤薬局の薬剤師。薬剤師歴12年。3児の父。認定実務実習指導薬剤師。FP技能士3級。

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