暮らしの薬学【殺虫剤編】~③殺虫剤はどうやって害虫を殺すの?
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暮らしの薬学【殺虫剤編】~③殺虫剤はどうやって害虫を殺すの?

虫を殺してしまうほどの力のある殺虫剤は人の体には影響ないのかな?と心配に思ったことはありませんか?
今回は殺虫剤が害虫を殺すメカニズムについて説明します。

殺虫剤の有効成分とはたらき

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除虫菊の天然殺虫成分であるピレトリン類ならびその誘導体を化学合成したものが“ピレスロイド系”と呼んでいます。このはたらきは、両生類・爬虫類の神経細胞上の受容体に作用し、細胞のナトリウムチャンネルを開いてナトリウムの細胞内流入を増加させて神経細胞を過度に興奮させて痙攣麻痺により死に至ります。哺乳類・鳥類の受容体に対する作用は弱いので、人に対して安全性が高いので、家庭用として一般的に使用されますが、観賞魚や活魚には注意しなければなりません

そして、「バポナ」でおなじみの有機リン系殺虫剤は、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用により神経細胞内のアセチルコリン濃度が上昇し過度な興奮状態から痙攣麻痺、中毒症状により死に至ります。殺虫力が強く、さまざまな害虫に有効です。
これと同じはたらきを持つ“カーバメイト系”や昆虫の成長(変態)過程を阻害する“昆虫成長制御剤”は、農業用・業務用で使用される殺虫剤です。よく耳にする“ホウ酸ダンゴ”は、ベイト剤(食毒剤)と呼ばれ、脱水作用で死にいたります。おもにゴキブリ駆除に使われるのですが、経口摂取してから1週間以上かかり、殺虫力は弱いので、繁殖力旺盛なチャバネゴキブリには有効とは言えません。

“1度で2度きくコンバット”で有名な“フィプロニルやヒドラメチルノン”は、ホウ酸ダンゴと同じくベイト剤ですがそのはたらきが異なっていて、食べたゴキブリだけでなく、その排泄物を食べたゴキブリも殺虫するというまさに“2度きく効果”を持っています

ネズミの場合は殺虫剤と言わず殺鼠剤(さっそざい)と言います。殺鼠剤は餌のようなものに血液凝固作用を抑制する成分が含まれていて、ネズミが食べ続けているうちに少しづつ血液が固まるのを抑制する、つまり出血を起こして死なせるものです。少しづつ出血するため時間がかかりますが、目にも出血を起こすので、見えにくくなるため明るいところに出てきて死ぬことが多くなります。

殺虫剤は「人には害を与えず虫には有効な殺虫剤」でなければなりません。極めて微量で害虫に有効だけど、通常の使用では人体に影響を及ぼさないように殺虫剤は開発されていて、さらにいろいろな法律で規制されています

殺虫剤などによく含まれている「ピレスロイド」って何?

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ピレスロイドという言葉は衣類用防虫剤でも家庭用殺虫剤でもごく身近に耳にします。これは、蚊取り線香の原料である除虫菊に含まれる有効成分の総称で、各種誘導体が合成され広く殺虫剤として利用されています。近年、除虫菊のように、天然植物の香りを利用して虫を寄せ付けなくするものが増えてきました。害虫ごとに苦手な植物(におい)があるようです。蚊は、シトロネラやラベンダー、ハエはゼラニウムやレモングラス、ゴキブリはクローブと言われています。


もっと勉強したい人に~参考リンク・参考図書


生活害虫防除協議会 
※害虫の分類や呼び名がいろいろ→生活害虫防除協会は“生活害虫”、この協会に入っていないアース製薬は“不快害虫”と称している。
アース害虫駆除何でも相談室 

<参考図書>
▼ピレスロイドの安全性、▼ゴキブリ殺虫メカニズム・・・『家庭用殺虫剤ここが知りたい!』
▼イガに効く防虫剤・・・『すっきりわかる!暮らしの中の化学物質大辞典』
▼殺虫剤の有効成分・・・『アレルゲン害虫のはなし
▼ネズミの抗凝血性殺鼠剤・・・『ネズミと害虫退治の科学

<この記事を書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。

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