暮らしの薬学【歯磨き剤編】~②虫歯・歯周病の原因
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暮らしの薬学【歯磨き剤編】~②虫歯・歯周病の原因

前回、虫歯は歯磨きの磨き残しっていうのが重要なポイントでしたよね。磨き残しがどのような影響があるのか、虫歯だけでなく歯周病の原因について解説します。

プラークとは

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プラークは、よく歯磨き剤のCMでもおなじみなので、なんとなく知っている人も多いかと思いますが、歯の表面や歯と歯ぐきの境目などに付着している白いねばねばした汚れのことです。
そのプラークの中に口の中で繁殖したたくさんの細菌が住み着いて歯にしっかりと付着しているのです。このプラークは水に溶けにくいのでうがいなどでは簡単に落ちません。歯ブラシや歯間ブラシで落とします。

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やっかいなことにプラークが石灰化した「歯石」になると歯磨きでは落ちず、歯科医院で除去してもらわなければなりません。プラークがさらに増殖すると薄い膜(バイオフィルム)ができます。この膜は免疫細胞や抗菌剤が働けず、住み着いた細菌たちがどんどん増殖してしまいます。

虫歯は、口の中の虫歯菌などの細菌が食事の糖質を分解して酸性物質(乳酸)を産生します。産生された乳酸が歯を溶かすのです。

歯周病は、歯周病菌が歯肉の表面に炎症を起こしたり、または歯周ポケット(歯と歯肉との隙間)と言われるところに入り込んで増殖して毒素や酵素を出して歯槽骨を破壊するなど、いわば歯の感染症のようなものです。

ここで虫歯菌と歯周病菌についてもう少しお話ししましょう。

虫歯菌と歯周病菌

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腸ほど多くはないですが、口の中にも多種多様な細菌が住み着いていて同じように「口腔細菌叢」といいます

虫歯や歯周病を起こす悪玉菌や病気とは関係のない善玉菌がいます。虫歯の原因菌はミュータンス菌があります。ミュータンス菌と歯周病菌の違いを表にまとめました。
甘いものをたくさん食べて虫歯になるのは、ミュータンス菌は酸素のあるところで歯の表面にある糖(グルコースなど)を分解してそれを栄養とし乳酸などの酸を生成して歯を溶かすということです

歯周病菌の場合は、酸素が嫌いなので、歯の表面ではなく酸素の少ない歯周ポケットの底にいて、炎症が起きたときに染み出てくる血液のタンパク質成分を栄養としてさらに増殖します
両者の住みやすい環境は違う上に、ミュータンス菌が活動すると酸がたくさん作られて酸性になり、そうすると逆に歯周病菌は生きづらくなり減少するといった現象がみられます。

図表

Q.酸で歯が溶けるってことは、虫歯になるってことですか?(酸蝕と虫歯の違い)

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口の外から入ってきた「酸」や身体の中からの「酸(胃液)」によって歯が溶ける病気を“酸蝕”といいます。
清涼飲料中で1番pHが低い、つまり酸性度合いが高いのはコーラ(㏗2.2)です。口の中が歯のエナメル質が溶けるpH5.5~5.7以下の酸性状態に長時間、頻回にさらされると“酸蝕”が発症しますので注意しましょう
虫歯と酸蝕の違いは、虫歯は口の中で糖から作られた酸が原因であるのに対し、酸蝕はそのままの形で入ってきた酸そのものが原因となるところです。

虫歯は、プラーク(歯垢)の中にいる虫歯菌が、糖分(炭水化物)を栄養にして有機酸をつくり、その「酸」によって歯が溶ける病気です。
pHが5.5~5.7以下になると、歯の表面のエナメル質表層から歯の成分である「リン酸イオン」、「カルシウムイオン」が唾液中に溶け出してきます。これを脱灰といいます。このときは虫歯の穴はまだ開いていません。飲食終了後は唾液の働きで、下がったpHはだんだんと中性へと戻っていきます。

pHが5.5~5.7以上になると溶け出ていた「リン酸イオン」「カルシウムイオン」が歯に戻り始めます。これを再石灰化といいます。
飲食後下がったpHが元に戻る前に繰り返し飲食をしたり、唾液の分泌が少なくなる就寝時前に飲食をしてすぐ寝たりすると、pH が中性に戻れずに歯の成分がどんどん溶けていきます。そしてついには穴が開き、いわゆる「虫歯」ができてしまうのです。


もっと勉強したい人に~参考リンク・参考図書


歯の健康 基本のき~虫歯~(花王)
歯周病(サンスター)
 

<参考図書>

『ウルトラ図解 歯周病』 
▼『人生が変わる歯の磨き方

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<この記事をまとめた人>
ミズホ
「薬局活用ガイド」編集部員。埼玉県在住。中2の長女、小4の長男の子育てをする二児の母。

<書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。

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